まーライオンこと、マチパー(@11kagen_blog)です。
高齢福祉分野に福祉サービスの調整や相談ができる「ケアマネジャー」がいるように
障害福祉分野にも福祉サービスの調整や相談ができる「相談支援専門員」という人たちがいます。
「どういう人が相談支援専門員になれるの?」
「相談支援専門員はどういう仕事をしているの?」
具体的に「相談支援専門員」が行う仕事の種類と役割についてお話したいと思います。
相談支援専門員…制度ができて10数年たち、その役割と質について問われています。
平成24年に「計画相談」が誕生し「相談支援専門員」が増加する!と期待されていましたが…
障害のある方が「障害福祉サービス(日中通う所、共同で住むところ、ヘルパーさんに来てもらうなど)を利用する」にあたり、「サービス等利用計画」の作成が必要となりました。
相談支援専門員の研修を受けても「なり手がいない」という現実 その1
平成24年から仕組みができて5年以上が経過し、現場では様々な問題が上がっています。
相談支援専門員カリキュラムの問題
https://twitter.com/11kagen_blog/status/1094801408304402432
障害当事者の団体から、相談支援専門員の人数が不足していると考えられる状況の中、特に「相談支援従事者初任者研修」の研修時間の増加は、現場の実態に合っていない。
また、研修カリキュラムの見直し案作成のプロセスにおいて障害当事者の意見が反映されていない。
研修内容について、障害者のエンパワメントの視点が十分でない、セルフケアプランの位置づけに関して必要な講義を含めるべき
移動が困難な障害当事者が研修を受講しやすくなるような工夫が必要
相談支援専門員の質の問題(研修にて)
当事者団体や事業所からは「相談支援専門員の質が…」という声をよく聞きます。
正直、「ごもっとも」だと思います。
ケアマネジャーの場合、国家資格+5年の実務経験+試験に合格+ケアマネジメントを含めた研修をみっちり受けてからなるもの。
相談支援専門員の場合、国家資格+5年の実務経験に加え、相談支援専門員初任者研修を受ければ「なれるもの」。
そう、つまり「障害福祉」の知識も経験もない人が「受けることができる」し「相談支援専門員の仕事」もできてしまう。
これが今の現実です。
「障害のある人」の「特性」も「性格」も、障害種別も、なにも分からない人(相談支援専門員)が、
目の前にいる当事者さんやそのご家族に「なぜその福祉サービスを使いたいか」「利用して将来どうしていきたいか」などアセスメントがきちんとできるのでしょうか?
さらに「方向性を一緒に考えていく」…なんてことが、本当にできるのでしょうか?
という声を「ごく普通に」聞きます。
という感情を押し殺しながら、グループワークを進めていくのですが…
知識はもちろん、見通しも方向性も持てない相談員に相談したい当事者さんやご家族はいるのでしょうか?
という疑問を、研修でも仕事でも常に感じています。
相談支援専門員の質の問題(地域にて)
当事者さんやご家族のいいなりになり「不必要なサービスを平気でつけようとする相談員」もいれば
「私が全責任を持ちますから!」と、日中活動系の事業所に入れようとする「責任感ZERO~」の相談員も、普通に相談支援専門員の仕事をしている…
どちらかというと「相談支援専門員」というよりは、「おせっかいおばちゃん」「小さな親切、大きなお世話!」という「支援の履き違い」をしている相談員も多くいます。
相談支援専門員の研修を受けても「なり手がいない」という現実 その2
平成24年から始まった計画相談ですが、障害福祉の分野では「報酬改定」というものが3年に一度行われています。
平成30年の報酬改定では「初期のサービス等利用計画」と「モニタリング」の報酬単価が、それぞれ約3,000円弱下がり、月の作成件数も40件以上の場合、さらに単価が下がる(減算)ことになりました。
この業界では「一人100件以上担当している」というのはザラにあり、150件、200件以上という話も聞きます。
「毎月自宅訪問、確認」のケアマネジャーと違い
「半年に1回(新サービスになると3か月に1回、入所は年1回モニタリング)」の相談支援専門員は「一人当たりの単価」が少ないため「人を確保しないと運営できない」状況です。
今回の報酬改定(減額)で、「やっていけない」「機能が果たせない」と次々に休止、廃止していく事業所が増えています。
「半年に1回」といいましたが、福祉サービス以外にも人によっては「相談員だから話を聞いて欲しい」と毎日のように電話がかかってくるケースや
事業所や行政機関からも「○○さんの件で相談したい」と言われれば、無給で動かざるを得ない状況もあり
現状です。
障害福祉サービスを利用するために必要な計画相談のまとめ
「障害福祉サービスを利用したい」と思っている当事者さんやそのご家族に対し、
ニーズや特性に合わせて、「その人たちの思い」を受容しつつ「適切なサービス利用に繋げていく」のが、相談支援専門員の仕事です。
相談支援専門員は、障害福祉に対する幅広い知識を持ち、目の前にいる方々と真摯に向き合いながら「その人たちが自分らしい生活を送れるよう」支援していく必要があります。
けっして「おせっかいおばちゃん」「ちいさな親切大きなお世話」でもありません。
また、地域にある事業所の特性も知り、橋渡しをしていく(もちろんアフターフローも必須)役割もあります。
同時に、関係機関との調整や、行政に必要なサービス(社会資源)の提案をし、「ないなら作る」「どうやったら実現可能か」などという姿勢も必要です。
(お問い合わせフォーム)